酒石橋-sakaishibashi-

出雲市平田町の木綿街道に先日オープンした複合施設、酒石橋(サカイ シバシ)の改修を行いました。
設計は増田雄一郎氏(アトリエイチゴブンコ)とDesign Office Sukimonoの 共同設計、施工は弊社と昭和開発工業の共同企業体で行いました。

水路に恵まれた平田町はその昔、全国から商人が集まる木綿の市場町として 栄えていました。多様な交通手段が整備されたことで交通量も減ってしまい ましたが、そんなかつての姿が色濃く残る木綿街道の中心部にひときわ大き な建物があります。それが今回改修させていただいた旧石橋酒造の酒蔵で す。
高い天井に大きな梁や柱、土壁。酒造りをしていた痕跡をそこここに残し た、重厚な建物です。その良さを最大限に生かしつつ、店舗としての機能は もちろんのこと、意匠を凝らした空間になっています。歴史ある街道と町並 みとの調和も考慮してデザインしました。山陰の豊かな材料や技術のみで構 成、集約された建物です。
印象的な色合いの壁は、鳥取県倉吉市の赤土で、土本来の色を生かしたも の。兵庫県の品川左官さん、島根の川村左官さんを中心に、美しく仕上げて いただきました。建具、家具には島根県の地松を使用しています。
壁や床、レセプションカウンターに使用したのはいずれも石州タイルで、亀 谷窯業さんと木村窯業さんのタイルです。レセプションカウンターの照明に は西田和紙工房さんの石州和紙を用い、柔らかで美しい陰影を作り出してい ます。
そして窓からは、島根の植富さんが手がけた四季折々の草木の表情が楽しめ る庭をのぞむことができます。

その中のテナントが、たまき製麺さんの新店舗「文吉たまき」(http://www.sobasho-tamaki.jp) です。
江戸時代に平田で原文吉さんという方が生み出したうどんがあります。

試作に十数年を費やして出来上がったのが、油を使わない卵黄入りのうどん。 それが文吉うどんです。第二次世界大戦の食糧不足の頃に廃れたまま、長い 間「幻のうどん」と呼ばれていたそのうどんをたまきさんが復活させました。 すでに既存の店舗でも人気のうどんですが、文吉うどんが誕生したこの平田 の地でたくさんの方々に味わっていただきたいという想いを持ってこの度新 店舗をオープンされました。
漆喰の白壁が立ちならぶ木綿街道の真ん中にそびえるこの大きな建物が街道 の新たなランドマークとして、永く親しんでいただけますように。

 

 

酒石橋のコピー